2013年御翼3月号その3

それでもイエス様は見捨てない―ジェイミー・ジョージ

 クリスチャンのバイオリン奏者、ジェイミー・ジョージ氏は、キューバの牧師家庭に生まれ、一〇歳まで共産主義のキューバで育つ。一九七〇年代、キューバではクリスチャンたちはあざけられ、子どもたちもいじめられていた。ある日、ジェイミーは年上の子どもたちに囲まれる。いじめっ子のアレクシスが、ジェイミーの胸を突き、「おまえは神を信じているのか」と聞く。「うん」と答えると、「聖書は馬鹿げたお話ばかりだ。神などいるはずがない。今お前を殺して、遺体を切り裂いてしまおう。そして、神が全部元通りにしてくれるかどうかみることにする」と脅した。彼らは、小動物を虐待していたので、殺されると覚悟した八歳のジェイミーは「イエス様、助けてください」と祈った。そして目を開けると、恐れは消え、ジェイミーはアレクシスの目を見つめてこう言った。「僕は君のことは恐れていない。僕の神様は力強いお方で、皆が僕を殺して引き裂いたとしても、神さまは僕を元通りにすることができる。いずれにしても、イエス様が間もなく来られる。その時には、僕は元通りになり、再び生きるのだ」と。すると、驚くことに、アレクシスは下を向き、ゆっくりと後ずさりし、ジェイミーを解放した。それ以来、いじめっ子たちはジェイミーに関わることはなかった。(現在のキューバでは、多くの宣教師や牧師が働いており、教会も成長しているという。)
 四歳の頃からバイオリンを習い始めたジェイミーは、九歳の時、ある音楽コンクールで一位になるが、審査員がこう迫った。「この国では神を信じる者を表彰することはできない。もし、信仰を捨てれば、優勝させてあげよう」と。しかし、ジェイミーは両親からの「人に従うより神に従うべきだ」との教えを即座に思い出し、断った。後日、ジェイミーの家に同じ審査員がやってきて、「レーニン、スターリン、マルクス、そしてカストロを信じなさい。そしたら、モスクワに留学させ、君と家族の将来を保障しよう」と言う。しかし、少年ジェイミーはそれをも自らの意志で断った。ジェイミーは、神様が想像を遥かに超えた素晴らしい将来を備えておられると確信した。そして、その通りになるのだ。まもなく一家は、アメリカに亡命することになるからである。
一九八〇年、一〇歳になったジェイミーは家族と共に新天地アメリカに渡る。大学に進学したとき、学内でのタレント・ショーに出演した。普段はロックバンドばかり出場するショーに、クラシック・バイオリンは合わないと思われた。曲は、情熱的なモンティ作曲のチャールダーシュである。弾き終わると、学生たちはスタンディングオベーションで称えた。十八歳のジェイミーはこのとき初めて、神は自分に音楽の賜物を与えてくださったことを知る。
それから十年後の一九九八年、フロリダ州の第一バプテスト教会で証しと演奏を行い、大学でのこの出来事について話した。礼拝後、ある女性が挨拶してくれた。「あなたが十年前、ロヨラ大学で演奏したとき、私は学生として群衆の中で聴いていました。あの時、私は脳に腫瘍ができ、視力が落ち、翌日、成功の確率は低い手術を控えていたのです。麻酔が効く前に私が手術室のベッドで思い起こすのは、前の晩、大学でバイオリンを弾く若者のことだけでした。あなたは、他の学生とどこか違っていました。そのとき、私はこう祈ったのです。『手術が成功し、命が与えられたならば、私もあの若者のように、違ったものを持ちたいです』」と。今、主への愛情を表わす表情で元気にしている。ジェイミーは、ますます音楽伝道の力を知った。やがて医学部に入るが、二年間で医学部をやめ、バイオリン演奏家の道を選んだ。
神の導き、祝福を体験したジェイミーであるが、道を外れたことも多くあったことが著書に記されている。高校時代、万引きの常習犯であった。また、大学に入るまでは酒を飲むような環境ではなかったが、学生時代、飲酒を覚え、異性関係も乱れる。ある女性と深く付き合った後、ジェイミーから別れ話を持ち出すと、別れる前にもう一度、と関係をせまられた。それに応じたジェイミーは、後日、この女性から、妊娠を告白される。彼は自殺も考え、彼女との結婚も考えた。罪悪感にさいなまれたジェイミーは、真剣に悔い改め、初めて聖霊が降った思いがしたという。しかし、祈りの中で、その女性と結婚することは間違いだと感じた。親しい友人に相談すると、妊娠についての事実関係を確かめるべきだと助言される。彼女とその母に、真偽を確かめるため、血液検査を願い出ると、二人とも返事が怪しい。「結婚してくれれば、血液検査をしましょう」と。それ以来、ジェイミーは彼女と、その子(存在すら分からない)にも会っていない。
このような失敗を通して、神の恵みを知り、その都度、信仰を新たにさせられてきたのだ。「これまでの人生体験を振り返ると、最もひどい状態にあったときは、いつでも自分がイエス様から一番遠くにいた時だった。それでも、イエス様は私のことを決してあきらめなかったのです」とジェイミーは言う。現在、美しい看護師で、歌い手でもあるエミリーと結婚した。年間百回のコンサートを行い、毎年世界中で五十万人以上の人々に、バイオリン演奏とイエス様の証しを届けている。以下は、ジェイミーによる成功への助言である。
ーDREAM HUGE(巨大な夢を抱こう)を頭文字にした、成功のための文字遊びー
―Daretaker(挑戦に応じる)神のために
―Relationships(対人関係)大切に守る
―Establish goals(目標を立てる)そして追い続ける
―Act on your dream(夢に従って行動する)失敗は神に赦していただけると信じながら
―Motivation(動機)夢は神の御心に適うものとする
―Humility(謙遜)成功の元を見失わないように
―Utilize time, energy, and resources carefully   (時間、精力、資力を大切に利用する)
―God 神を第一とする
―Enjoy life(人生を楽しみなさい)
神の祝福を受け取る準備をしよう!

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